墓石の選び方

墓石を選ぼうと思っても簡単ではありません。なぜなら石は天然素材ですから、見た目や品質において二つとして同じというものがないからです。クルマや家電製品などのような工業製品ではありませんので、目利きの者でも選ぶのは簡単ではありません。

そのような難しい商品であることを納得いただいた上で墓石を選ぶ方法をお伝えしておきます。

墓石は長く使うものである

お墓を2~3年で建て替える人はいません。10年で建て替える人もほとんどいません。天災などで倒壊でもしない限り20年、30年、50年と建っているのが墓石です。

ということは、「耐久性に優れた硬い石を選ぶ」ことが第一条件です。次に、理想的には「吸水率が低い石」を選ぶことです。

吸水率が高いと(スポンジをイメージしてください)、水分を石が含んでしまうので

  • カビ
  • コケ
  • シミ

こういう原因になります。ただ、見た目を気にされないのであれば大きな問題にはなりません。吸水率に関して気になるのは、染み込んだ水が凍結(寒冷地の寒い季節ですね)を繰り返すことで墓石の劣化が早まる原因になることです。

まず、大前提として「墓石は長く使うもの」であることを理解してください。

予算・費用で墓石を選ぶ

墓石は決して安いお買い物ではありません。それだけに予算決めをするのはとても大切なことです。

ただ、相場がわからないまま予算だけで進めていくには少々無理があります。というのも、ほとんどの方は住宅やクルマのように墓石を「過去に購入した経験」がないからです。

しかし、墓石も特別な商品ではありません。住宅やクルマと同様に価格が違えば内容も異なります。それゆえ、予算決めをするには、あらかじめ相場を知っておく必要があります。

「でも、相場を知る方法がない」とお考えかと思います。安心してください。当組合へご相談いただければ、裏表なく必要な情報をお伝えします。

石を基準に墓石を選ぶ

「良質な大島石で建てたい」「インドのアーバングレーが良いと聞いたが・・・」。こんな感じで「石」を基準に、墓石を選ぶ人もいらっしゃいます。

たしかに、お墓も料理と同じく素材は大切です。しかし、料理人の腕が悪ければ良い素材も台無しです。

今や国産銘石である「大島石」の墓石も、大半が中国でつくられている時代です。「アーバングレー」と言ってもピンからキリまであります。石についての知識がないと、石の名前だけで選ぶのはリスクが大きすぎます。

また、同じ名前の石にもランクがあります。同じ名前の車でもグレードがあるのと同じです。そしてランクが違うと価格も変わってきます。

また、つくり手によって墓石の出来栄えは大きく違ってきます。これは下手な料理人が良い素材でつくっても美味しくならないのと同じです。

当然のことながら、ランクの高い石を技術力の高い工場でつくれば墓石の価格も高くなりますが、実際に石材店から渡される見積書には、単に「○○石」としか書かれていないので、ついつい安い方に目が行ってしまいがちです。そして、安い方を選んでしまう。お墓に限らず、どんな商品や製品も同じですが、良いモノはそれなりの値段になるということです。安すぎるものは避けるのが一番です。

国産の石だけが良いとは限らない

国産石材の価格に比べ、外国産の石材が安価であることが多いため、国産の石材は良質で外国産の石材は質が良くないと思われがちです。しかし大地の自然の恵みである石の品質においては、一概にそうとは言えません。

日本の国土は狭いため、広大な面積を持つ中国やインドなどに比べると石材の産出量も少ないため、原材料費や人件費の違いが価格の差となっている場合があるからです。

中国加工の墓石は値段相応

中国の石材加工工場でつくられる墓石は、工場ごとに技術力の差が大きいため、製品の出来栄えに影響してきます。信頼できる工場でつくられたものなら比較的問題はないと言えますが、極端に値段の安い中国加工の墓石には注意が必要です。

これは国民性だと思いますが、中国は日本とは違い「安くて良いモノ」なんて考え方は存在しないということです。この考え方、グローバルな視点では正しい考え方です。日本だけが特殊だと言えます。もう一点注意すべきは、中国の多くの石材加工工場で行われている”ごまかし加工”です。本来ならば使えないような石でも、薬品処理、熱処理、着色など、あらゆる方法で”ごまかし加工”を施した墓石が日本に輸入されています。

石材の吸水率と耐久性との関連

石には石種によって、さまざまな性質の違いがあります。墓石に使用する素材を選ぶ際には、値段の高い安いに関わらず、必ずその石の「硬度」と「吸水率」を確認することが重要です。

硬度とは鉱物の相対的な硬さを表す数値のことです。

吸水率とは石材の「水の吸いやすさ」を表したものです。

まず、墓石として使用される通称「みかげ石」と呼ばれる花崗岩や安山岩などは、一般的には、硬質で風化に強いと言われていますが、その数値はそれぞれの石種によって大きく異なります。

続いて、石は水を吸水する性質を持っていますが、過度に水を吸いやすい石は、寒冷地では凍結しやすく、凍結を繰り返すことにより、ひび割れや亀裂の原因につながります。また、墓石の中に水が浸透することにより、石の表面のツヤ落ちやザラザラ感、色落ちなどの経年劣化が現れてきます。

雨が降った後、墓石の下部に水を含んだような「シミ」が残り、それがいつまでたっても抜けないようなお墓は使用している石材の吸水率の高さに原因があると考えられます。

墓石は屋外に建立されるため、雨・雪・潮風などにさらされます。雨に降られた石は、水を吸っては吐き出します。しかし、吸水率の低い石材は高い耐水性を持っているため、屋外に建てられる墓石材として適していると言えるのです。

石の名前だけではなく性質も知っておきたいですね。

日本国内での使用実績

中国やインドなどの外国から輸入される石には数多くの種類があります。

それらの中には、数十年前から日本国内で使用されている石もあれば、ここ最近使われはじめた石もあります。

先ほども述べましたが、墓石に使用する石を選ぶ際には「硬度」や「吸水率」は大切な要素です。しかし、これらはあくまでも科学的に測定したデータです。

お墓は、長い年月にわたり屋外に建ち続けます。

近年の日本の気候は夏は40度前後になる高温多湿。一方で冬は氷点下にまで下がります。それに加え、紫外線や酸性雨、地域によっては潮風による塩害など、様々な環境の影響により、変色や変質につながることがあります。

これらの条件下で石がどのように変化するのかは、「硬度」や「吸水率」などの物性データだけでは判断できません。墓石としての、日本国内での使用実績を見ないとわからないのです。

そう考えると、ここ最近使われるようになった石よりも、一定年数以上の使用実績がある石を選んでおく方が賢明と言えるでしょう。

デザイン重視で墓石を選ぶ

『人は見た目が9割』というベストセラー本があります。たしかに見た目は大切です。

クルマは見た目で選ぶ傾向が強い商品です。運転しづらくても大型車を選んだりしますよね。最近でこそ減りましたが、少し前なら故障が多いのはわかっていても外国車を選んだり。

お墓も見た目がカッコイイ方が良いに決まっています。特に近年あちらこちらの墓地や霊園で数多く見られるようになった「デザイン墓石」などは、まさにデザイン重視で選ばれる方が増えていることを意味しています。

ここで考えたいのは、デザイン重視が良いとか悪いとかではなく、実はデザインに関するトラブルは意外に多いということです。

例えばトラブルの理由として多いのが、「思っていたデザインとイメージが違う」というケースです。

この問題の大きな要因の一つが石材店選びです。もしかするとデザイン墓石に精通した石材店ではないところに頼んでしまわれたのかもしれません。

ひと口に石材店と言っても、それぞれ得意分野があります。和型墓石が得意。シンプルな洋型墓石が得意。いろいろあります。人がつくっているのですから得意分野があって当然です。

だからこそ得意な分野が一致している石材店を選んでほしいのです。下手をすれば、お饅頭屋さんにウエディングケーキを頼むような結果になりかねません。笑えませんね。

そして、見た目だけのデザインでなく、構造や機能性も重視したものであることが最も重要です。

工事・施工重視でお墓を選ぶ

最近、お墓の工事・施工を重視する人がずいぶん増えてきました。特に「基礎工事」と「地震対策」です。

日本中のあちらこちらで大きな地震が頻繁に発生していることを考えると、たしかにここは重要な部分です。しかし、お墓の工事・施工に関して重要視している石材店はそう多くありません。

例えば、お墓の基礎工事には規定も法律もありません。住宅とは違います。

  • 基礎工事らしきものはまったく行わない
  • ワイヤーメッシュとモルタルを使用した気休め程度の基礎工事を行う
  • D10~13(直径10~13mm)の鉄筋を配筋した上に生コン使用の基礎工事を実施

あなたが墓石を購入する石材店がどのような基礎工事をしているのか、事前に確認しておいた方がいいですね。

また、知識として知っておいてほしいのが、墓石の地震対策に関しては「モルタル施工」ではなく「耐震性のある接着剤使用」は最低限必要ということです。それに加え、ゲル素材等を使用した免震施工をしておく方が万全です。

お墓が倒れるということは、自分の家のお墓が倒れるだけではなく、隣のお墓にも迷惑が掛かってしまうおそれがあります。地震国日本において施工重視は不可欠です。

石材店で選ぶ

「美味しい料理を食べたければ、美味しいお店に行くのが一番」ではありませんか?わざわざ美味しくないお店に行って、ギャンブル的に美味しい料理が出てくるのを待ちますか?絶対にしないですよね。

このように考えるなら、「いいお墓をつくるには、いい石材店選びがすべて」と考えてもあながち間違ってはいません。

問題なのは、どのようにして「いい石材店」を選ぶかです。

これがわからないから、「一括見積もりサイト」などのポータルサイトに頼るのですが、あまりお勧めはいたしません。その理由のひとつが、一括見積もりポータルサイトの運営自体が石材店からの成約手数料で成り立っているのであって、特に厳選した石材店を紹介しているわけではないからです。

では、次のようなところなら大丈夫だと言えるでしょうか。

  • 大手石材店だから大丈夫
  • 老舗だから大丈夫
  • 墓地の近くにあるから大丈夫(雰囲気だけです)
  • 家の近くだから大丈夫(良いかどうかは無視しています)

これらも石材店を選ぶ基準として、決して正しいとは言えません。

大手石材店、老舗石材店だからといって、すべてが良い石材店とは限りません。日々の買い物をするスーパーではないので、家の近くである必要もありません。

墓地に近いからというのは雰囲気だけで選んでいます。例えば、神社の鳥居の向かい側や横で「だんご」を売っているお店を無条件に「美味しい店」と言っているのと同じです(こういう情報サイトや雑誌もありますが)。

本当は「お墓選びは石材店選び」であると言っても過言ではないくらい、石材店選びは最も重要です。たとえば・・・

「○○があるから、この石材店にお願いしたい」

「○○が良いから、ここにしよう」

・・・といった、きちんとした理由や根拠を持って石材店選びをしてください。

構造重視で墓石を選ぶ

住宅購入のとき、「木造」「鉄筋コンクリート」「ツーバイフォー工法」など、構造も気になりますよね。

ところが、お墓の構造に関して尋ねられる方は、ほんの僅かです。しかし、本当に気にしてほしいのは「構造」なのです。

特に外からは見えないカロート(納骨室)の構造です。大切な家族のお骨を納めるところです。なぜ、その場所が重要なのかは、「何のためにお墓をつくるのか?」を考えていただければ答えは簡単に出ます。

  • 亡き人を祀るためです
  • ご先祖様を供養するためです

つまり、亡くなった人のお骨や遺品を納め、故人を偲び供養するためにお墓を建てるのです。何かの記念碑やモニュメントではありません。

そう考えると、お墓のカロートが、いかに重要かをご理解いただけるかと思います。けれども、日本中のほとんどの地域の墓石は、カロートの中に水が入ってしまう構造なのです。

水が溜まって骨壺が水没し、お骨が中でプカプカと浮いていることも珍しくありません。中にハチが巣をつくっているケースもあります。

この事実、ほとんどの消費者は知りません。外からは見えない部分ということもありますが、石材店としても正直に事実を言い難い部分でもあるからです。仮に消費者が石材店にこの件を聞いたとしても、多くの石材店は「少しは水が入るものです」「そういう構造です」「お骨が土に還るために必要なんです」こんな言い訳が口をついて出てくるはずです。本当にそうなのでしょうか?

想像してみてください。

あなたの大切な人のお骨が水浸しになっているとしたら、あなたはどんな気持ちでしょうか? 構造も意識しておきたいですね。