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お墓はクルマや住宅、毎日スーパーやコンビニで買い物をする商品とは性質が異なります。また、通販サイトで「カゴに入れる」をクリックして購入するようにはいきません。
お墓を購入するということは、最終的には石材店に委ねるしかない商品だけに、お墓に関しては何よりも「石材店選び」がすべてとなります。
石材店にも種類があります
大手石材店
テレビCMや広告などを通じて、ご存じの石材店もあることでしょう。大手石材店はネームバリューがあります。また全国展開しているところもあります。そのため、「なんとなく信頼できそう」的なイメージを抱く方も多いはずです。
たしかに大手石材店は、知名度が高いため「おかしな営業」「強引すぎる営業」や「怪しい販売」をすることはないと思われがちですが、大手石材店であっても信頼できるところとそうでないところがあります。
また、良いお墓づくりに大手も中小も関係ありません。会社の規模だけで判断するというのは心配です。
大手石材店の場合、営業マンの数も多く担当者によって相性が合わないなどの問題や、仕事全体がマニュアル的になりやすいという点があります。費用部分についても大手石材店は、人件費や広告宣伝着などに多額のコストが掛かっているため、必ずしも相場より安い値段とは限りません(費用を回収しなければ利益は出ません)。
知名度だけで飛びつくのではなく、複数の石材店から話を聞くようにしましょう。
ネット通販型石材店
最近はインターネットを使ってお墓を販売する石材店も登場しています。このようなスタイルの石材店の場合、消費者と直接会って話しをすることや、決まった担当者で対応するなど、費用が必要となる部分を削減することで、墓石の値段を低くするように努力しています。
墓石工事に関わる作業や完成墓碑の引き渡しのほとんどは下請け会社が行いますので、購入した石材店の担当者との間に信頼関係は築きにくくなります。
ネット通販型石材店を選ぶ場合に気をつけておきたいのが、天災などによって墓石の修理が必要になった場合です。誰が対応してくれるのかが曖昧になることもあります。
スピーディーに手間なくお墓を購入して済ませたいという方は、こういった石材店を検討されるのもアリかもしれません。
激安石材店
リフォームや解体工事、中古車販売と同じように、墓石もインターネットで値段を比較して選べる時代になりました。そういう時代なのです。
例えばスマートフォンから2~3社の石材店へ同時に見積もりを依頼し、その中から値段が安いところを選ぶことも簡単にできるのです。確かに便利です。家に居ながらできますからね。
このような石材店が良くないとは言いません。ただし、「安い」のには必ず理由があります。理由もなく安くできるはずはないからです。
例えば、
- 石の品質や加工の善し悪し
- 墓石の構造や工事の施工方法
- 保証の内容
目に見えにくい部分がどうなっているのかをしっかり確認し、お墓の費用部分だけに注目するのではなく選ぶようにしておきましょう。ご自身が納得できれば選んでもまったく問題はありません。
地元の石材店
大手ではありません。しかし、地元で長く石材店を営んでいらっしゃるお店があります。こういった石材店は、当然のことながら「良い口コミ」が多いものです。
また、地元に根ざした墓地やお寺などから依頼を受けていることも多いので、墓石だけではなく墓地に関する相談もしやすいというメリットがあります。
ただ、こちらについても大手石材店やネット通販型石材店、激安石材店と同じで、すべてが良い石材店であるとは決して言えません。
地域によっては石材店同士の競合が少ないのをいいことに、法外な値段をつける「ぼったくり」石材店も存在しますので、複数の石材店に見積もりを依頼されることをお勧めします。
できることなら墓地からあまり遠くない石材店を選ぶ方が良いです。理由としては、天災などによってお墓の修理が必要になった場合でも近くなら対応も早くなります。お墓のメンテナンスなどもお願いしやすいので、遠い石材店よりも近い石材店の方がメリットも多いと言えるでしょう。
ただし、自分たちが望んでいるお墓をつくってくれる石材店が近くにない場合は、やむを得ません。近くの石材店というだけで安易に妥協するよりも、少々遠くても望んでいるお墓をつくってくれる石材店にお願いした方が、心から満足のいくお墓になることは間違いありません。
「指定石材店制度」には
気をつけましょう
墓地や霊園にお墓をつくる場合、まず場所さえ確保すれば自分たちが選んだ石材店でお墓をつくれる。
このように考えておられる方も多いと思います。たしかに市区町村等が運営する公営の墓地・霊園であれば、自分たちが選んだ石材店でお墓をつくることができるところがほとんど。
ここで気をつけておきたいのが、墓地や霊園によってはお墓をつくる石材店が決められていることがある。このような事実です。
例えば、設備やサービスが充実している民営霊園は「指定石材店制度」を設けているところが多いものです。知らずに契約してしまうと、自分たちが選んだ石材店にお願いできないためトラブルの原因になります。
「みなし墓地」と呼ばれる自治会等が管理している墓地の場合も、自治会や地元運営団体の取り決めによって、「指定石材店制度」が設けられていることがあります。
では、お寺が運営している墓地はどうかというと、「指定石材店制度」という明確な制度は設けていなくても、寺院ごとに決め事がありますので、お寺と関係のある石材店に依頼しなければならないケースが大半です。
「指定石材店制度」が良くないということではありません。お寺と関係のある石材店を選ぶことが良くないのではありません。
お墓をつくる際には、墓地や霊園を申し込む前に、「指定石材店制度」(または石材店選びのルール)が設けられているのかどうか、必ず確認しておくことが大切だということです。 「指定石材店制度」についての詳しい内容は、以下のブログで紹介しています。墓地や霊園を見学される前、またはご契約される前にご覧ください。
後悔しない石材店の
選び方
気になる内容ですね。隠し事なくお話しします。
消費者の知りたい情報が掲載されたホームページがあること
シンプルにわかりやすく掲載されていることが大切です。
石材店の店舗へお客様が来ることを歓迎してくれること
飛び込み営業や、墓地でのキャッチセールスを主にしている石材店は、何かと理由をつけて店舗に来ることを拒もうとする傾向があります。自宅やマンションの一室を事務所にして活動している「ブローカー的な石材店」の可能性もあります。
店舗や工場が整理整頓されていること
足を運んでいただくと一目瞭然です。
きちんと話を聞いてくれる石材店であること
これは重要なポイントです。お客様の話を聞かずにセールスの話ばかりというのはいけません。
石や加工について詳しいこと
石のプロですから当然です。曖昧な答えしか返ってこない場合は注意しましょう。
国内および、中国など外国の石材加工事情に精通していること
常に変化していますので、最新の情報提供をしてくれるかどうかが重要です。
宗教、宗旨・宗派や仏事に詳しいこと
こちらもお墓のプロなら当然です。
改葬手続きなど、お墓に必要な事務手続きに関する能力が高いこと
いきなり行政書士を紹介するだけという石材店もあります。できれば石材店のスタッフがサポートしてくれる方が安心です。
すべての内容が記載された見積書の提示や契約書を取り交わす石材店であること
住宅のリフォームなどでは当然のことですが、お墓の業界では意外に無いところが多いです。
石材の「産地証明書」や「国内加工証明書」などを発行してくれる石材店であること
自分たちの仕事に自信があれば発行できます。曖昧な返答で発行してくれないのは、発行できない理由があるからです。
完成後の保証(保証書)やアフターフォローがしっかりとしている石材店であること
墓地や霊園へ墓石を設置したら終わり。こういう石材店は危険です。売り逃げされる可能性があります。
注意するべき石材店の特徴
契約する前に注意していただきたい石材店の特徴を簡単にまとめました。
その場で契約を迫る→早く契約しないと売れてしまいますよ!
価格の安さだけを執拗にアピール→「今なら○%引き」「超目玉商品!○日までのお買い得!」
簡単に値引きに応じる石材店
全額前払いを要求する石材店
お悔み情報(供養業界に流通している死亡者リスト)など、どこからか情報を手に入れ、電話や自宅に訪問してくる石材店
公営墓地の募集区画で待ち伏せし、親しく声を掛けてくるキャッチセールス型の営業をしている石材店
価格の安さばかりをアピールしてくる石材店は、価格以外に優れたところがないため、こういう方法を使っています。簡単に値下げに応じる石材店は、最初から適切な価格提示をしていない可能性があります。
石材店選びには「人間性」も影響します
仕事への取り組み
1:問い合わせの際の対応
電話での対応の良し悪し、メールでの対応の良し悪し。これだけでも仕事への取り組み姿勢がよくわかります。
売上につながる内容には素早く対応。売上に関係のない内容(お寺様へのお布施の金額の相場や、納骨式の服装など)には適当な対応。こういう石材店は止めておきましょう。
また、メールでの対応ではレスポンスの速さも見極めのポイントになります。
2:きちんと整理整頓
腕の良い職人さんがいる工場は、工具がきちんと片付けられています。同様に、仕事ができる営業マンの机の上はきちんと整理されています。
書類や図面が机の上に散乱しているような営業マンに、丁寧な仕事は期待できません。仕事をする場所をきれいにしてこそ、良い仕事ができるものです。
3:対応するスタッフの身なり
スーツやワイシャツ、ネクタイはもちろんのこと、夏場のクールビスや作業服に至るまで、意外に人は見ています。
高級なものを身に着ける必要はありません。大切なのは清潔感があるかどうかです。
汗シミで汚れたワイシャツに、膝の出たズボンをはいた営業マンから高級国産墓石は買いたくないですね。
展示墓石の状態や価格表示
墓石の展示状態が重要!
展示場の広さは石材店ごとに異なります。そのため展示されている墓石の数やバリエーションも違います。
したがって展示に関して重要なのは数ではなく、墓石の展示状態です。
- ホコリが被った状態のまま(掃除する気がない証拠です)
- 屋外展示場で鳥の糞が落ちていた(スタッフが見ていない証拠です)
- 掲示ポップが歪んだまま(社長すら見てない証拠です)
こんな石材店に良いお墓を期待できるでしょうか。
例えば、きちんとした中古車展示場なら、どのクルマもピカピカに洗車されているはずです。いくら展示品といえども、自社の製品管理がきちんとできない石材店に良いお墓づくりができるはずがありません。
そして、注意してもらいたいのが、各墓石の価格が表記されているかどうかです。
「客を見て値段を決める!」 今もあることが驚きですが、こんな石材店はかなり危険です。
スタッフに有資格者がいるか
最低限必要となる能力を持っている証!
ほとんどの業種には「資格」というものがあります。特に高額な商品や製品を扱う業種ですと、何らかの資格が用意されています。
資格を持っているから絶対に大丈夫!ということではありませんが、資格を持っているということは、その業種や業務に対して、最低限必要となる能力を持っている証だと言えます。
例えば、
- 不動産業なら「宅地建物取引士」
- 法律事務所なら「弁護士」
- 建設業なら「建設業許可」
しかし、お墓を販売するのに特別な資格は必要ありません。たしかに販売するのに資格は必要なくても、お墓に関係する業界には消費者に安心していただけるよう、さまざまな資格があります。
日本最大の石材関連業界団体である、(一社)日本石材産業協会が認定する資格。資格には、「1級」「2級」があり、1級は全国で701名、2級は3,714名(いずれも2023年現在)となっており、1級は難易度の高い資格となっております。
石製品の製作など石材施工に関わる技能を認定する厚生労働省が管轄する国家資格。試験は学科と実技からなり、石材加工作業、石張り作業、石積み作業に区分されています。
日本の施工管理技士国家資格のうちの1つ。国土交通省管轄で公共工事が必置となる主任技術者や監理技術者になるために必須の資格。
これらは一例です。お墓に関わる資格は他にもあります。石材店が「お墓のプロ」であるかどうかを見極めるには、どのような資格を持ったスタッフがいるのかどうかも目安の一つになります。中には、「建設業許可」を有している石材店もあります。
営業マンの資質や人間性
「誰から買うか」が重要!
高価なものを購入する場合、「何を買うか」も大事ですが「誰から買うか」がもっと重要です。
お墓に関してなら、あなたの担当になる営業マンの人間性が、お墓づくりにも大きく影響が出るということです。
売り急がず、あなたの話をしっかりと聞いてくれた上で、あなたの要望や予算にピッタリ合ったお墓を薦めてくれる営業マンなら安心ですね。
いろいろな理由を並べ、不安をあおり、その場で契約を迫るような営業マンがいるような石材店は避けた方が無難です。
石材店の経営方針や社長の人間性
社長の意識や考え方が重要!
お店の経営方針は社長から発信されたもの。そして社長の意識や考え方は、スタッフ全員に浸透し表面にあらわれてくるもの。
石材店もまったく同じです。そのため良いお墓に巡り合えるかどうか、最終的にはその石材店の経営方針や社長の人間性が大きく影響します。
例えば石材店の社長が、
- とにかく儲かればいい(とにかく売ってこい!)
- どうせ石の品質なんて消費者にはわからない(ふっかけろ!)
- 工事も見える部分だけきちんとやればいい(見えないところは手抜きして利益アップ!)
こんなふうに考えている石材店なら最悪です。
見極めるには、石材店のホームページ内にある「ブログ」や「お客様の声」を見てみましょう。経営者の考え方や石材店の取り組みがよくわかるはずです。
なによりも実際に石材店の社長と会って話をしてみることです。あなたに石を見る目はなくても、長年の人生経験から良い人かどうかは、ある程度はわかるはずです。
もし、
- 社長が一切出てこない
- 予約して店舗へ訪問したら急用を理由に社長が出てこない
- 社長代理的な立場の人しか出てこない
危ないサインです。
どこの石材店が良い石と高い技術でお墓をつくっているのか
「どこの石材店も安心できます」と言いたいところですが、残念ながら言えません。
というのも墓石の流通には独特なルートがあるからです。
例えば、今や全国市場の80%以上を占める、中国でつくられる墓石の場合。
いかがでしょう。石材店が自分の足を使って中国の工場などを視察しているなら、石材商社へ「中国の〇〇工場へ注文してほしい」と注文することも可能ですので、「良い石」か「高い技術」かどうかわかります。
しかし、単に石材商社へ注文しているだけなら「良い石」を使用して「高い技術」でつくった墓石が届くのかどうか石材店すらわかりません。石材商社も商売です。他の石材商社との競合に勝つためには、たとえ同じ石種であっても、できるだけ単価の安い石を工賃の安い工場で加工した墓石を少しでも安い値段で石材店に売る必要があるのです。
ということは、良い石を使って高い技術力の工場でお墓がつくられているのかどうか、あなたも石材店もわかっていないことになります。
では、日本の石材加工工場でつくる国産墓石の場合ならわかるのでしょうか?
この場合も、どこの石材加工工場に墓石を注文するかは「石材店次第」だということです。あなたにはわかりません。
また、「自社加工」や「自社施工」をアピールする石材店も多いですが、本当に技術力が高いのかどうかもわかりません。
結論を申し上げますと、良い石材店というのは
- 自分で責任をもってお客様と対応する
- 自分で素材となる石材を吟味して、製作を依頼する加工工場を決める
- 自分で墓石の品質から、墓地での施工管理までを行う
これら3つを漏れなく併せ持っているお店なのです。